あなた自身の持つ
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“生命を宿す力”を信じて



 私が父のもとで漢方不妊治療を始めて、四半世紀以上たちます。父が現役を退いたあとはその意思を受け継ぎ一人で診療を始めてからも早10年余りが過ぎようとしています。

 父の時代から、当診療所には“西洋医学でさじを投げられた”患者さんが多く通院していました。この傾向は近年ますます進んでいます。それは、昨今いわれている「35歳~卵巣の老化・卵子の数の減少」という問題で、高度生殖補助医療を試みたものの、その結果を得られずにいる人が多いためだと思います。

 漢方は体全体を治す総合医療です。不妊治療もその考えにもとづきアプローチします。子宮・卵巣の状態にとらわれず、まずは体全体を診て「妊娠しやすい母体づくり」を目標にしています。35歳は妊娠にとって「精神的」な壁かもしれませんが、決して「肉体的」な壁ではありません。卵子の老化に負けない妊娠力を 高める体づくりが、当院のめざす漢方不妊治療です。

 医師は治療する立場にありますが、実に多くのことを患者さんから学びます。不妊治療を長年していますと、ときとして奇跡的な妊娠に出会うことがあり、本当に妊娠は「授かりもの」だと思います。そして同時に、人間の持っている「生命力」の強さに感銘を受けます。以上のような経験を踏まえ、一組でも多くのご夫婦が子宝に恵まれますよう、心から願ってこの本を執筆しました。

 平成26年 楓蔦黄なり


玄和堂診療所  寺師 碩甫