食欲・睡眠・性欲~子孫を残すための妊娠力up ― 1

『生き物』が生きて子孫を残すためにの力は、それぞれ形は違うかもしれませんが、自らの進化の過程で獲得したものです。それは、驚く程に単純ですが無駄なく明解にできています。そして、その総ての生物に共通するのは、食欲・睡眠・性欲であり、それは人間とても同じことだと思います。

人間は生き物であり機械ではありません。それが生理・受精・妊娠・出産の根底にあるのだと思います。人類の長い歴史の進化の過程で勝ち取った叡智の結集である人間の体は、現在の検査・数式化・科学化で全容が分かるほど単純明解な甘い構造ではありません。特に妊娠・出産に関しては・・・と、漢方不妊治療を長年にわたりおこない、多くの患者さんを診てきた私は思っています。

ここ数年は、‘’AMH低値⇒3か月~半年で閉経します⇒すぐ体外をしましょう”形式が高度生殖医療が流れのように見受けられますが、今までAMHが低くて閉経になった人の記憶は、私には今までありません。つい最近も、AMHが 0.0*で自然妊娠した患者さんがいました。

(因みに、写真は‘GINZA-6’のドラえもんです。可愛いですね~
次回は、銀座和光の熊さんです。)

まずは、人間は食物を食べなくては生きていけません。人間の奥歯・前歯・犬歯の配列は、まさに現代栄養学の三大栄養素の糖質・脂質・蛋白質、そしてビタミン・ミネラルの基本の栄養バランスそのものの配列でなり立っています。(イラストは『食べさんありがとう』川西四郎著を参考にしました。)

…考えてみると、成長期には奥歯が全てありますが、思春期になり成長が一段落すると、”親知らず”が抜けるのも自然の摂理なのかも知れません。でも、今の低糖質や糖質Offが本当に正しければ大人になってからの奥歯の存在意味が無くなってしまいます。それでは、小さい時から自分自身の成長を見守ってくれた奥歯さんが、余りにも可哀想です…

睡眠も、成長期は別ですが、、最初の3時間で脳が眠り、プラス3~4時間の合わせて6~7時間睡眠で心身が休まるのが大人の睡眠の基本です。ですから、忙しいとかで4~5時間睡眠を続けていると、いずれは己の体に天罰を受けることになります、よ。

また、性欲~生殖に関すれば、体の仕組みに二つの素晴らしいものがあります。
一つは排卵の帯下の状態。もう一つは、基礎体温に於ける二相性の状態です。

もともと帯下は酸性の状態であり、雑菌の侵入から子宮及び卵管を守っています。でも、その状態では精子が死んでしまうので、排卵時には弱アルカリ性の帯下を出して精子を子宮の中に導いてくれます。

実は、性交渉はある意味では、女性の体の中への精子という名前の「異物」の侵入なのです。その異物から体を守るために、「門番」として酸性帯下が子宮の入り口に立ちはだかっているのです。つまり、酸性帯下は異物の侵入を防ぐ体の重要な防衛システムの一つなのです。しかし、そのままでは弱アルカリ性である精子は酸性帯下に異物として退治され妊娠が成立しません。そこで、異物の精子は守るために排卵時にはアルカリ性の粘っこい頸管粘液が増えるのです。

皆さん知っていましたか??
本当に、体は偉い!!!

そして、水っぽい帯下だと精子が奥に進みにくいので、”卵の白身”ぽい少し粘っこい(恋)状態の頸管粘液にして、(これを牽引性といい、本来は頸管粘液が指同士で10㎝位伸びるのが理想です)受精に必要な精子を一匹でも多く子宮の中に呼び込もうとしています。なにせ、ゴールは愛しい卵子(因みに、精子は0.005mm。卵子は0.07mm~0.2mmで人間最大の細胞です)の待つ遥か遠くの卵管膨大部ですから…。そして、そのアルカリ帯下の期間が長いと雑菌がはびこるので3~4日で消えていき、の酸性帯下に戻ります。本当に、人間の自然の仕組みは実に上手く出来ています。

こう云う事を解明する科学の力は本当に凄いですね。で、この理論通りなら妊娠を望まない人は酸性帯下により精子が全滅し、排卵日前後以外は妊娠しないはずです。しかし、理屈道理いかないのが人の道。この門番を打ち破る強い精子が存在するのです。だからこそ様々な避妊方法が世の中には存在するのです。やはり、人間を含め生物の生命力は強いものです。子孫を残す力は強いものです。

《不妊症でよく使われるクロミッド。多用しているとこの帯下が減ってきます。子宮と卵巣の力は拮抗作用です。たくさん成熟卵を作ろうとすると、体に無理がかかり、結果的には排卵時の帯下を減らして、子宮内環境を受精しにくい状態にしてしまいます。》

次回は、
基礎体温の摩訶不思議~子孫を残すための妊娠力up ― 2

乞うご期待!!