前回「筋肉・脂肪編」に続き、スロースクワット「ミトコンドリア編」です。
前回から取り上げているスロースクワットですが、妊娠のためにも非常に有効だと思いました。
受精には生命力の高い質の良い「精子」や「卵子」が求められます。卵子には普通の細胞の数十倍~100倍近い約10万個のミトコンドリアが存在します。人間の身体は無駄なくできていますから、この10万個の数にも何かしらの大きな意味があるはずです。やはり、受精には膨大なエネルギーが必要ということなのですね。また、膣内に射精された精子が長い道を乗り越え、卵子と受精する卵管膨大部まで進むための動力源(推進源)が、このミトコンドリアです。
精子を人間の大きさに換算すると、子宮入口から卵子と受精する卵管膨大部までの6㎞の距離を早いものは60分~90分で進み、かつ競争相手は2億~4億人です。排卵した卵子と出会い受精するためには、一刻も早くこの卵管膨大分に到着する必要があります(男の子の最初の試練ですネ)。ですから、受精→着床→妊娠→出産するためには男女問わずして、このミトコンドリアが生み出す❗❗エネルギー(ATP)が欠かせないのです。
ここで、一つ不思議なことが・・・。
なんでミトコンドリアが一つ。
沢山いれば推進力がアップし競争に勝てるのに??
そうか、ミトコンドリア*モーターが多いと自身が重くなりスピードがでない。卵管膨大部まではミトコンドリア一つのエネルギーで行けるので多くても無駄になる・・・本当に、人間の身体は進化の過程で細部まで無駄なくできている。
凄い!!
┅ 因みに、ミトコンドリアを増やすために、食事のバランスを良くし、適度な睡眠を取り、そして寒い環境に体を置く(寒冷刺激)というのがありました。ん┅??。私もよく患者さんに漢方薬も大事ですが養生(食事・睡眠・運動)が大切だと話しますが、、、これを考えるに、人間は寒い時には筋肉を震わせ熱を産生して生命維持のために体温を保とうとします。逆のことで云えば、夏の暑い時には、汗をかいて気化熱で皮膚の表面から熱を奪い体温を保とうとします。要するに、人間が生きていく故の体の防衛反応です。人の働きには決して無駄がありません。何かしら意味があるものです。筋肉を震わすとは運動をすることであり(=最近の電気刺激で腹筋を鍛える道具と同じことか??)、ある面ではスロースクワットに通じるものがあると思います。(『食欲・睡眠・性欲』のblog参照)┅
そして、刺激はあくまで刺激でピンポイントです。それは食事・運動などを含め全てのことで言えます。ピンポイントが面になると身体を壊します。
このように考えていくと、スロースクワットをしてミトコンドリアの量をふやし活性化を高めることは、「卵子の質」や「精子の質」の向上に結びつき、自然妊娠はもちろんですが、高度生殖医療においての妊娠力アップにもつながっていきます。
さて、元々、男女の冷えの差は筋肉量にも関与します。一般的には男性の方が5%筋肉が多い分、女性はその分5%体脂肪が多い傾向にあります。脂肪は筋肉に比べて熱産生量が低く、運動をせず体重が増えてもただ体脂肪がふえるだけで結果的には体を冷やすことになります。
また、脂肪は体にとっての断熱材ですから、その人の骨格に見合ったバランスよい脂肪は必要です。しかし、余り痩せすぎると断熱材が減り体を冷やしてしまいます。一方では熱生産量の低い脂肪のつき過ぎは体を冷やすことになります。余計な脂肪がお腹に付くとお腹に“冷たい腹巻き”を巻いたと同じ状態で、体の表面からジワジワと内部の子宮・卵巣を冷やすことになります。
体脂肪は22~25%が理想です。15%を切ると生理が止まりやすく、10%を切ると(ここでも体の防衛反応が働き)脳の指令で~ダイエットはもちろん過度な運動でも~ほぼ生理が止まります。逆に体重が増え体脂肪が30%以上になると生理が止まることはないと思いますが、体の負担から不順気味になります。生理は健康のバロメーターと云ますが、そのコアは身長・体重・体脂肪です。(『未病と不妊』のblog参照)
いつも話すように、妊娠・出産する場所は子宮・卵巣ですが本来は身体全体の力を総動員して行うものです。漢方でいう冷え瘀血の改善も大切ですが、それと共に筋肉量を増やすことが妊活には必要なことなのです。
次回はスロースクワット「実践編」です