以前から、患者さんによく聞かれます。『ホットヨガは、妊活に良いのでしょうか??』
私も、無酸素運動や有酸素運動を含め、運動は妊活のためにも必要なので積極的に勧めています。特にインナーマッスル、要するに体幹部の大きな筋肉を鍛えることは、代謝を高め脂肪燃焼率を上げ、効率よくダイエットや体重管理ができるものと考えています。筋肉はそれ自体が熱を発生し、運動する時はより熱を発生するので冷えの改善にも結びつきます。
(筋肉といえば、ここ数年は銀座にも欧米からの観光客が増えましたが、今年の真冬も半袖Tシャツの人を何人か見かけました。揃って二の腕が太い。ザ・筋肉だ❗❗。因みに、写真は昨年オープンしたGINZA6の夜景🌃✨です❩
ダンベル体操やスロースクワット、テイラピス、そしてヨガやホットヨガは、筋肉量を増やし冷えを改善して妊活にも役立つので、患者さんにも勧めてきました。私も、患者さんに勧める手前としてスロースクワット&筋トレは続けています。(・・;)
その中でホットヨガに関していうと、『始めは良いが途中から気分が悪くなり出来ない』。『頭痛が2~3日続く』。『汗が出過ぎて疲れてしまい最後まで続かない』。『サウナとホットヨガは部屋にも入れない』と言う人が、患者さんの中に少なからずいます。
その一方で『ホットヨガで初めて運動で汗をかいた』。『終わった後は、しっかり汗をかいて気分爽快で気持ち良い』と言う人もいます。
さて、この差の原因はなにか?? 確かにホットヨガは体を温め子宮・卵巣機能を向上させるので悪いはずがない。しかし、明らかに嫌う人がいるのも事実です。上半身に熱が籠り体調が悪くなるので嫌がる人もいます。
んんン┅?? この差は何で出るのかな~~~
そうか、、前回の”ハイボールは好きですか“と同じか┅(・・;)
前回のblogで、冷えには表面の冷えと深部の冷えがあると書きました。それはなかなか本人には気づきにくいものです。人間の身体の仕組みとして、体が冷えると体を守ろうとして毛穴が閉じて一定の体温を保とうとします。表面の冷えだけの人は、普段から体を守るために毛穴が閉じて要るので汗が出にくいのかも知れません。
確かに、問診票等を見ると汗が出にくいと答えている人が多く見受けられます。そのような人がホットヨガをして開きにくい毛穴から汗が出ると、普段余り汗が出ない分、『汗が出たぁ~』という感じでスッキリして心地好い良いのかも知れません。
ところが、体の深部が冷えている人は虚熱が生じ、その虚熱が上半身に籠る傾向にあります。そこに運動の際に筋肉から発生した熱と、ホットヨガのスタジオ内の熱とが相俟って重なり、上半身に必要以上の熱が溜まるため辛くなるのです。 そもそも、熱はその性質上から上昇するものです。それは虚熱といえども同じです。筋肉が動いて熱が発生しても、自力で動く分には発生する実熱はたかが知れています。しかし、そこにスタジオの実熱が加わると、もともと『冷えのぼせ』体質の人は必要以上の熱が上半身に籠っているので汗が出過ぎて体調を崩すのです。
人間の体の60%は水分であり、その汗の出入りはとても大切です。中国古来の漢方の本に『傷寒論(しょうかんろん)』という本があります。その一番初めの処方が『桂枝湯(けいしとう)』という処方です。この『桂枝湯』は皆さんもよくご存知の『葛根湯』のbaseとなる処方です。桂枝(ケイシ~シナモン)は、もともとは体内の汗の出入りを調節する薬でその匙加減がとても重要です。
漢方では、汗の出入り~体内水分の分布~水分バランスを大切に考えています。だからこそ、『桂枝湯』を漢方古典でもっとも重要な書物である『傷寒論』の冒頭の処方に置いたのです。それ故にこの『桂枝湯』は様々な処方の基礎になります。
例えば、風邪の『葛根湯』も、汗が出るまでは飲みますが、汗が出た後は証の変化(身体の変化)により処方を変えなくてはいけません。汗が出た後でも『葛根湯』をいつまでも飲んでいると、体内の水分が出過ぎて脱汗状態に陥り、余計に体力を消耗し風邪の振り返しにつながります。風邪の時の『葛根湯』の止め時がむずかしいのはそのためです。
次回は、汗の出入りと『葛根湯』と妊娠の話。本質は『水毒(すいどく)』の話です。
乞う、ご期待