漢方で*赤ちゃん迎える院長blog

コロナウイルス感染記-4(麻黄湯~柴胡桂枝乾姜湯)

熱が下がった後は発熱で体力が消耗していると考え、体力の回復の為に『柴胡桂枝乾姜湯』を3週間程服用しました。漢方には3年3ヶ月3日という言葉があります。人間の体は3の倍数で変わってくとの意味です。そして、風邪を引くことは身体が弱っている証拠です。熱は一つの指標でしかありません。熱が下がった後は養生こそが本当は大切なことです。『風邪は万病のもと』昔の人は良く言ったものだと思います。

 その「柴胡桂枝乾姜湯」は元々は風邪などを引いて、熱は下がったが、その後体調が戻らずに微熱や寝汗、夜間の乾咳が続く時に出す処方です。患者さんの中でも新型コロナウイルス感染後に熱は下がったが体調の余り良くない人に良く処方しています。曰く、コロナ感染以来、今一つ元気が出ない┅。疲れ易くなった┅。体調が優れない-。特に夜間の空咳が増えた。

コロナ感染直後で熱が肺にある内は、肺熱が強い“実熱”なので、咳・痰・胸痛が激しく『麻黄杏仁甘石湯』『五虎湯」』などが良く効きます。しかし時間が経過し肺の熱が“余熱”に変わると、咳も変化して乾咳に移り変わり『麦門冬湯』などが効きます。咳も証も刻々と変化するものです。それに見合った薬の処方することが大事です。

そして、この場合未だに体力が回復していない人が多いので、『麦門冬湯』のみでは効果が弱く『柴胡桂枝乾姜湯』『麦門冬湯』を併用して体力を回復させながら残った咳を止めて行くのが一番だと考えます。エキス剤の場合は『柴胡桂枝乾姜湯』と』『麦門冬湯』の合法。煎じ薬の場合は『柴胡桂枝乾姜湯加五味子麦門冬』が、無駄がなく良いと思います。風邪の後の体力低下に『十全大補湯』『人参栄養栄湯』を用いる事もありますが、風邪の後で肺が病んでる事も多く「柴胡桂剤」類の方がより良い効果が得られる印象です。