結婚して7年目になるが子供に恵まれない。婦人科にて卵巣年齢も含め異常がないか検査したが、特に問題はなかったといって来院されました。

身長157cm、体重43.5kgでほっそりとしたタイプ。月経は順調。腹診すると腹直筋の突っ張りはないが、下腹部がやや硬い。身長に比べ体重が少なく虚弱なので、2kgほど体重を増やすように指導しました。腹証より当帰芍薬散を投与。冷えのために附子、補陰・補血作用のある熟地黄を加味。同薬方を約3ヵ月服用後に自然妊娠。女児を自然分娩にて出産されました。

✽治療のポイント

「婦人の聖薬」ともいわれている当帰芍薬散は、体を温め、血を増やし、体液を調整して卵巣・子宮に力をつける働きがあります。虚弱なタイプで冷え症、貧血の傾向がある場合によく用います。この患者さんは、やせ型で肩こりや目の疲れを訴える虚弱なタイプ。軟弱なお腹では、妊娠し子供を育てることはできません。当帰芍薬散を服用することにより、卵巣・子宮に力がつき妊娠・出産に至ることができたのでしょう。