初診・出産年齢・服用期間

35歳


37歳


1年4か月

初診前の状況について

この方は、31歳で1度妊娠しましたが4週で初期流産されています。夫婦とも不妊検査ではフーナーテスト以外問題はありませんでした。フーナーテストは2回とも精子全滅とのことでした。

診療と診断

身長160cm、体重44kg、やせ型で虚弱タイプ。手足の冷えがあり寒がりで疲れやすく、下痢しやすいとのこと。腹診すると、腹直筋の緊張、下腹部および鼠径部の突っ張りが認められました。腹証から当帰四逆湯を投与し、体重を2kg増やすように指示しました。
3ヵ月服用後来院、もともと下痢しやすく、腹診でも腹直筋の緊張および下痢の圧痛点も認められたことから、当帰四逆湯と真武湯の2処方を交互の服用としました。その1か月半後には下痢の圧痛点も解消し、体重も増え、おなかの状態もよくなってきました。次の来院時には、腹部の突っ張りもなくなり、お腹もふっくらとしてきたため、当帰芍薬散料と真武湯の2処方に変方しました。同2処方を3か月ほど服用した頃、妊娠の報告を受けました。その後は順調に経過し女児を分娩されました。

治療のポイント

この方はもともと下痢しやすく、腹直筋の突っ張りが認められ、冷え症でした。まず冷えを目標に当帰四逆湯を投与し、次に下痢しやすい体質を改善するために真武湯を用いました。真武湯で胃腸に停留していた水毒を去り胃腸に活力を与え、当帰四逆湯で血行をよくして体を温めました。最後に当帰芍薬散料と真武湯を用い妊娠へと導きました。漢方薬の服用によって奥様の体質が改善され、子宮頸部の精子の通過性がよくなったのだと思われます。胃腸を丈夫にすることで母体作りの環境が整った症例です。

処方した漢方薬

当帰とうき芍薬散しゃくやくさんりょう

当帰とうき四逆湯しぎゃくとう
(当帰四逆加呉茱萸生姜湯とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

真武湯しんぶとう

当帰四逆湯

当帰とうき四逆湯しぎゃくとう
(当帰四逆加呉茱萸生姜湯とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

しもやけがよくできる、冷え性の人に。
血流をよくし、身体を温めます。


当診療所では、おひとりおひとりの体質や状態に合わせて、生活習慣や食事、服装などの詳しいアドバイスも行っています。あなたの今の健康状態を丁寧に評価し、それに基づいてオーダーメイドの漢方処方を行います。症状が似ているからといって、市販の漢方薬を安易に服用するのは危険ですのでくれぐれもご注意ください。初診のご予約はオンラインでもお電話でも結構です。お電話でもお気軽にご相談ください。