[vol.5]夫婦関係のとき痛む冷え症の不妊、瘀血とガス腹を治して妊娠
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初診・出産年齢・服用期間
32歳
33歳
6か月
初診前の状況について
この方は、病院で卵巣嚢腫(チョコレート嚢腫)と診断されており、2か月後の再検査では腫れは治まっていましたが、その4か月後に下腹部の痛みがあり再発、妊娠が一番の治療といわれたといいます。体質を改善して卵巣嚢腫ができない体、妊娠できる体になりたいと来院されました。過去には、ストレスによる十二指腸潰瘍、胃潰瘍の既往があります。
診療と診断
身長152cm、体重44kgと小柄。腹診すると、お腹はやや硬く、ガス腹、腹直筋の突っ張り、瘀血の圧痛点を著明に認めました。腹証より折衝飲を投与し、冷えがあるため附子を加味しました。
1か月服用後、ガス、お腹の硬さともに少し軽減してきました。2か月後にはお腹のガスがなくなり、瘀血の圧痛点も消失しました。この時、婦人科の検査で嚢腫はなかったといわれたと本人より報告がありました。
4か月半服用後、夫婦関係の際にあった性交痛もなくなり、お腹の硬さも取れて、ふっくらしてきました。そこで当帰芍薬散料に変方し、冷えがあるので附子、補陰のため熟地黄を加味し投与しました。この当帰芍薬散料を約3か月服用した頃、検査薬で陽性反応が出たと報告がありました。その後は、順調に経過をたどり女児を出産されました。
治療のポイント
折衝飲は、当帰芍薬散料と桂枝茯苓丸料とを合わせた薬方で、気をめぐらし、血行を良くする効果があります。折衝飲の中に延胡索(えんごさく)という生薬が配合されており、この薬は「活血利気の第一薬」と『本草備要』に記述されています。卵巣嚢腫は、漢方的に考えると、血が滞っている状態、すなわち瘀血によるものです。この方は、瘀血に加えてガス腹であったので、瘀血と気滞による証と考えて、まず折衝飲でこれらを解消し、当帰芍薬散料で妊娠へと導きました。
処方した漢方薬
駆瘀血剤の代表的な漢方です。
瘀血があり、お腹が張りやすい人に。
体が弱く貧血気味の人に。
血を補い、水毒をとり、胃の働きを促します。
流産止めにも用いられます。
当診療所では、おひとりおひとりの体質や状態に合わせて、生活習慣や食事、服装などの詳しいアドバイスも行っています。あなたの今の健康状態を丁寧に評価し、それに基づいてオーダーメイドの漢方処方を行います。症状が似ているからといって、市販の漢方薬を安易に服用するのは危険ですのでくれぐれもご注意ください。初診のご予約はオンラインでもお電話でも結構です。お電話でもお気軽にご相談ください。