[vol.6]習慣性流産、12kg減量し、42歳で出産
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初診・出産年齢・服用期間
40歳
42歳
1年4か月
初診前の状況について
この方は、第一子を出産後、流産を3回経験されていました。不育症を改善して第二子を妊娠、出産したいと来院されました。
診療と診断
身長154cm、体重59kg、かた太りで実証タイプ。腹診すると、胸脇苦満がみられ、下腹部はかたく、左右の瘀血圧痛点を認めました。そこで胸脇苦満と瘀血の解消を目標に、大柴胡湯合桂枝茯苓丸料に冷えの附子を加味して投与しました。目標体重を50kgに設定し、食事、運動に注意を払うように話しました。
3か月服用後、体重は50~51kg、体脂肪率は30.2%となり、腹診すると胸脇苦満、左の瘀血圧痛は消失して、お腹はやや軟になっています。この間、ジョギングやランニングを行い、漢方薬も1日も欠かさず服用したとのこと。腹証から前方と当帰芍薬散料の2薬方を1日交互の服用としました。
4か月服用後、体重は来院時よりも11kg減量し48kgとなりました。元々食事が多かったのを注意しているとのこと。毎月ひいていた風邪もひかなくなったといいます。腹証より当帰芍薬散料のみの投与としました。6か月服用後、瘀血も解消し、お腹もふっくらとして妊娠しても維持できる母体になってきているので、タイミングを合わせても良いのではと話しました。その後は、当帰芍薬散料を継続して服用し、初診から1年4か月ほど経過した頃、「自然妊娠しました。」と報告がありました。出産間近まで当帰芍薬散料を服用され、無事女児を出産されました。
治療のポイント
体内に余分な脂肪がたまると体調をくずす原因となります。特に下腹部に脂肪がついていると、脂肪は筋肉より冷たいので、結果的には卵巣・子宮を冷やすことになります。この方の場合は、大柴胡湯合桂枝茯苓丸料で脂肪や瘀血を去って体重を落とし、下腹部の状態をととのえた後、当帰芍薬散料で妊娠、出産へと導きました。当帰芍薬散は妊娠中の諸病、習慣性流産、浮腫、腰痛などにも功を奏します。この方は、日常生活を改善され、一日も欠かさず服用されました。その努力が結果につながったのだと思います。
処方した漢方薬
大柴胡湯と桂枝茯苓丸料を合わせた薬です。
体力のあるかた太りの人に。
体が弱く貧血気味の人に。
血を補い、水毒をとり、胃の働きを促します。
流産止めにも用いられます。
当診療所では、おひとりおひとりの体質や状態に合わせて、生活習慣や食事、服装などの詳しいアドバイスも行っています。あなたの今の健康状態を丁寧に評価し、それに基づいてオーダーメイドの漢方処方を行います。症状が似ているからといって、市販の漢方薬を安易に服用するのは危険ですのでくれぐれもご注意ください。初診のご予約はオンラインでもお電話でも結構です。お電話でもお気軽にご相談ください。