[vol.8]虚弱タイプの男性不妊、14年目で待望の子宝
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初診・出産年齢・服用期間
妻:41歳
夫:41歳
42歳
妻:7か月
夫:7か月
初診前の状況について
ご夫婦で服用された症例です。高度生殖医療を勧められていますが、できれば漢方で自然妊娠したいとご夫婦で来院されました。結婚13年目になりますが1度も妊娠したことがなく、人工授精を1回行いましたが、妊娠には至らなかったとのことです。
診療と診断
妻は身長155cm、体重44.5kg。子宮筋腫がありますが、他は特に問題はありません。腹診すると、胸脇苦満、鼠径部の突っ張りがあり、お腹はややかたい所見を認めます。冷え症で寒腹もあります。これらをポイントに当帰四逆湯を投与しました。冷え、補腎、気滞などを考慮して、附子、熟地黄、香附子を加味しました。
3週間後、鼠径部の突っ張りが緩和してきました。約3か月後の腹診では、右瘀血圧痛点が認められ、月経前症候群もあったため、桂枝茯苓丸料に変方しました。この処方を約4か月服用後、瘀血は解消しお腹はかたさもなくふっくらしてきました。そこで当帰芍薬散料に変方して投与しました。同薬方を1か月ほど服用した頃、自然妊娠したと報告を受けました。順調に経過し、女児を出産されました。
夫は41歳、精液検査では、運動率が悪い他には数値的には問題はありません。無気力、やる気が出ないことを治したいといいます。無気力、やる気がでないことは精力減退にも通じると考え、腹証より桂枝加竜骨牡蛎湯を投与しました。2か月服用後、臍下不仁を認めたため、前方と八味地黄湯の2薬方とし、妻が妊娠するまで服用されました。
治療のポイント
体外受精や顕微授精などの高度生殖医療を受ける場合も、まずは妊娠できる母体づくりをしてから生殖医療に望むのがベストと考えています。瘀血や冷えを改善することは一朝一夕にはいきません。腹証に従い投与された薬をのみ続ける努力と、食事、運動などの養生生活が大切です。特にホルモン剤などでバランスが崩れてしまった場合には、母体づくりにはより時間がかかります。
処方した漢方薬
妻:当帰四逆湯 (当帰四逆加呉茱萸生姜湯)・
桂枝茯苓丸料・ 当帰芍薬散料
夫:桂枝加竜骨牡蛎湯・ 八味地黄湯
冬は手足が冷え、夏はほてるタイプの不妊に。
腎の働きを高める代表的な漢方です。
当診療所では、おひとりおひとりの体質や状態に合わせて、生活習慣や食事、服装などの詳しいアドバイスも行っています。あなたの今の健康状態を丁寧に評価し、それに基づいてオーダーメイドの漢方処方を行います。症状が似ているからといって、市販の漢方薬を安易に服用するのは危険ですのでくれぐれもご注意ください。初診のご予約はオンラインでもお電話でも結構です。お電話でもお気軽にご相談ください。